top of page
検索

「ギバー」と「テイカー」──言葉の美化に騙されないために

左に温かな表情の人物、右に冷たい表情の人物を対比させ、「ギバー/テイカー」と大きく配置したタイトル画像。与える姿勢と奪う姿勢のコントラストを示す。
言葉は優しく装える。本物は、リスクを負って“与える”人だけが残る。

事例:現代型テイカーの姿


近年、販売代行・運用代行・マーケティング代行・SNS代行・動画制作代行など、さまざまな「代行業」が乱立しています。もちろん、真摯に価値を提供している事業者も多いですが、中には明らかにテイカー的な構造になっているものも存在します。


  • 事例1:SNS運用代行の“放置型”サービス

月額契約を取りつけ、最初の1〜2週間だけ丁寧に運用。その後はほぼテンプレ投稿の繰り返し、顧客の成長や成果には無関心。にもかかわらず、契約更新だけはきっちり行い、手間をかけず利益だけを吸い取る。


  • 事例2:販売代行の“在庫押し付け”モデル

「あなたの商品を拡販します」と契約し、在庫を大量に引き取るが、実際は販路開拓をせず、古い取引先に押し込むだけ。売れ残れば返品不可で、その在庫は事実上の“負債”として依頼主にのしかかる。


  • 事例3:動画制作代行の“一発納品”型

高額な制作費を取り、納品後の改善やアフターサポートは一切なし。クライアントが「成果が出ない」と言っても、「それは運用次第です」と責任を回避する。


これらに共通しているのは、「与える」ように見せかけて、実際は自分の利益や都合を最優先にしていること。

表面的には「お客様をサポートします」「あなたの成功が私たちの喜びです」と謳っていても、その実態はギバーの仮面をかぶったテイカーです。


ギバーの理想と現実のギャップ


本来のギバーとは、見返りを求めず、自分のリソース(時間・労力・お金・知識)を差し出す人のこと。

しかし、世の中で「ギバーです」と名乗る人や、そう呼ばれている人の多くは、支援・サポート・応援といった耳障りのいい言葉を並べながら、実際は何もリスクを負わない。

「いいね」や「シェア」だけで“応援した気”になっている──そんな姿を、私はたくさん見てきました。


気づかないテイカーの存在


一番厄介なのは、自分がテイカーであることに気づいていない人です。

本人は「支援している」「応援している」と信じていても、その行動の本質は、承認欲求を満たすためだったり、自分の利益や立場を守るためだったりする。

しかもこうした人は、周囲から「いい人」と見られやすいため、自分の内面を疑う機会が少ないのです。


私自身も例外ではない


これは、他人だけの問題ではありません。

私自身も、無意識のうちにテイカー的な行動をとってしまう可能性がある。

だからこそ、俯瞰的に自分を見て振る舞うことが必要だと感じます。

「与える」という言葉の背後に、自分の見返りへの期待や、自己満足が潜んでいないか──これを定期的に点検する習慣が欠かせません。


意識的にギバーを選び、無意識にギバーであり続ける


理想は、ギバーであることを意識せず、自然に与え続けられる状態です。

しかし、最初から無意識にそれができる人はほとんどいません。

だからこそ、最初は**「意識して」ギバーであろうとする努力**が必要で、それを続ける中で少しずつ無意識の習慣に変えていく。

これが逆(=無意識にテイカー、意識的にギバーのフリ)になってしまうと、さらに厄介です。


テイカーの仮面をかぶったギバー


現代社会では、「与えるフリ」が簡単にできてしまいます。

SNSの一言、寄付のスクリーンショット、イベントでの写真──これらは一瞬で「私はギバーです」という印象を作ります。

しかし、その裏で何もリスクを負わず、何も変えていないのなら、それはギバーではなく、テイカーの仮面をかぶった存在です。


ラフティ的メッセージ


私は、株式会社ラフティとしてITコンサルやシステム開発、プロジェクト設計に携わる中で、**「ギバーであり続けることは簡単ではない」**と何度も痛感してきました。

与えるということは、自分の時間や経験、労力を差し出すこと。

そこには必ず「自分のリスク」が伴います。

だからこそ、ラフティは実行を伴わない美辞麗句は言わないと決めています。お世辞や忖度で「できます」と言っておきながら、成果が出ない──そんな関わり方は絶対にしない。本当に必要な提案なら、耳の痛いことでも言うし、短期的には嫌われる選択をすることもあります。なぜなら、それこそが長期的に相手に価値を残す“本当のギブ”だからです。

私は、透明サーフボード「Sea Through」や音声メモAIアプリの開発など、地球や社会に還元するプロジェクトに時間と資金を投じてきました。それはビジネスとしての利益だけでなく、未来に残す価値を信じているからです。ギバーであり続けるためには、覚悟と選択が必要です。そして、それは言葉ではなく、行動でしか示せません。


結論

    記事の続きは…

    laughtey.com を定期購読してお読みください。

    bottom of page