「オンとオフを分ける人は、もう時代遅れ」──AI検索時代に求められる“デジタル資産”の考え方
- 奧村 哲次
- 10月13日
- 読了時間: 6分

1. いまだに「オンとオフを分けたい」という人たちへ
私は長年ITの世界に関わってきましたが、いまだに「仕事とプライベートはきっちり分けたい」「自分のことをネットに残したくない」と考える人を多く見かけます。特にIT事業者ですら、SNSをほとんどやらず、社内での情報共有もせず、自己アピールを避けている。
その背景には「デジタルタトゥーが怖い」「過去の発言が残ったら不利になる」という不安があるのでしょう。あるいは「仕事は仕事、オフはオフ」と割り切りたい気持ちも理解できます。
しかし、ここで私ははっきり言いたいのです。
それはもう、完全に時代遅れの考え方だと。
2. ChatGPTやGeminiが示す未来
最近、多くの人がChatGPTやGeminiを使って調べ物をするようになりました。これらのAIは、ネット上にある膨大な情報を学習・検索し、最適な答えを提示します。
つまり、ネットに存在しない情報は、存在しないのと同じ扱いになるのです。
もしあなたが会社の代表だとしても、もしあなたが優れた技術者だとしても、もしあなたが誠実に仕事を積み重ねてきたとしても──。
ネットに何も残していなければ、AIにとってあなたは“いない人”になる。
それは履歴書や名刺よりも、はるかに致命的です。なぜなら、今後は人事担当者や取引先が「まずAIに聞く」時代が来るからです。AIが拾わない人材は、最初から選択肢に入らない。
3. デジタルタトゥーの誤解
「ネットに残すとデジタルタトゥーになってしまうから怖い」と言う人がいます。確かに、一度公開した情報は完全には消せません。炎上のリスクもゼロではありません。
けれど、ここで冷静に考えてみてください。
「何も残さない」という選択こそが、最大のデジタルタトゥーになりつつあるのです。
なぜなら「発信しない人」は、AI検索や社会的評価の中で「存在感ゼロ」として扱われるからです。
悪い情報が残るリスクを恐れて隠れるよりも、良い情報を積み重ねて“上書き”していくことが現実的な戦略です。
人は失敗もするし、完璧な存在ではありません。それを含めて、どういう軌跡を歩んできたかが「信頼」になります。
逆に、何も発信しないことは「この人は何を考えているのか分からない」「情報がないから信用できない」というマイナス評価につながります。
4. オンとオフの境界はもう存在しない
さらに言えば、現代はリモートワーク、副業、SNS、副収入の時代です。
仕事とプライベートの境界はすでに溶けています。
かつては「会社の自分」と「家庭の自分」を切り分けることに意味がありました。
しかし今は「どんな人間として生きているか」が、そのままビジネスの信頼にも直結します。
休日にどんな活動をしているか
どんな考え方をSNSで発信しているか
どんな価値観で仕事を選んでいるか
こうした“人間性の一貫性”が見えることで、逆に取引先や顧客からの信頼は増します。
つまり「オンとオフを分ける」よりも「一貫した人間像を見せる」ことの方が、今の時代にははるかに価値があるのです。
5. 「発信=承認欲求」ではない
多くの人がSNS発信やブログ執筆を「承認欲求」と捉えて避けています。
しかし、本質は全く違います。
発信とは、未来の自分への信用の積立です。
今日書いたブログ、今日残したSNSの一文が、数年後にAI検索で誰かの目に留まり、あなたやあなたの会社の評価につながる。
それは株式投資や貯金と同じで、「コツコツ積み上げたものが将来大きな差になる」のです。
6. もう「隠れる時代」は終わった
ここまで読んでくださった方に、最後に強く伝えたいことがあります。
情報を出さない人=透明人間になる
オンとオフを分けたがる人=時代遅れになる
ネットにデータを残さない人=未来のAI社会から排除される人
これは脅しでも誇張でもなく、現実に進行している社会変化です。
私たちはいま、AIが情報を評価する時代を生きています。
だからこそ、発信はもう「やるかやらないか」の問題ではなく、生存戦略そのものになっています。
7. 行動のすすめ
もし「自分のことをネットに残したくない」と感じているなら、それは自然な感情です。怖さや不安も理解できます。
ですが、それでもあえて一歩踏み出すことが大切です。
小さなブログ記事を書いてみる
仕事で学んだことをSNSで一言残す
自分の価値観を簡単にまとめて発信する
こうした一歩一歩が、未来のあなたを守ります。
未来のあなたがAI検索で正しく評価されるために、今のあなたが情報を残しておく必要があるのです。
8. 発信には“落とし穴”もある
ただし、ここで大切な補足があります。
発信は未来の信用資産になる一方で、間違った発信は“逆効果”になる ということです。
「お金持ちアピール」
「私はバズってます」
「インフルエンサーです」
「いいねが何件」「フォロワーが何人」
こうした数字や地位を誇示する発信は、確かに“人間性の一貫性”を示しているように見えるかもしれません。
しかし、実際には 「浅はかさ」「承認欲求の強さ」「虚勢」 といった負の印象を与えます。
人は数字や肩書きよりも、その人の「考え方」「価値観」「歩んできた軌跡」に信頼を寄せます。
ですから、大切なのは「私はすごい」ではなく「私は何を信じ、何を大事にしているか」を残すことなのです。
9. 結論
「隠れること」こそが、最大のリスクになる時代が来た。
仕事とプライベートを分けて情報を出さない人は、もはや時代遅れです。
これからの時代は、オンとオフを超えて「一貫した人間性」をネットに残していくこと。
そして、間違っても「お金持ちアピール」や「フォロワー数の自慢」に走らないこと。
未来の信用は、数字や肩書きではなく、あなた自身の言葉と行動の軌跡 に宿ります。
それこそが、新しい信用の形であり、未来を生き抜くための唯一の戦略です。