Chapter 5 運用保守コミュニケーションルール
― 判断不要で進む範囲を定義する運用設計

運用が止まる最大の原因は、
トラブルでも人手不足でもありません。
「判断が必要なもの」と
「判断不要で進めてよいもの」
この区別が設計されていないことです。
すべてを相談し、
すべてを確認し、
すべてを判断者に委ねる。
この構造では、
どれだけ優秀な人がいても、運用は必ず詰まります。
本 Chapter では、
日常運用を判断不要で回し続けるためのコミュニケーション設計を整理します。
5-1. 運用が重くなる理由は「判断の多さ」
運用現場でよく起きているのは、次の状態です。
-
小さな対応でも確認が必要
-
ルールが曖昧で都度相談が発生
-
判断者の返信待ちで手が止まる
これは、
人の問題ではなく設計の問題です。
判断が必要な領域が広すぎると、
運用は必ず遅くなります。
5-2. 運用を止めないための基本思想
本 Wiki での運用思想は、明確です。
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日常運用は「判断不要」で進む
-
判断が必要なものだけを切り出す
判断は重要ですが、
常に発生させるものではありません。
判断は、
「例外」「変更」「影響が広がるとき」
にだけ必要です。
5-3. 判断不要で進めるべき運用範囲
判断不要ゾーンとは、次のような領域です。
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手順が確立されている定常作業
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過去に判断済みの再実行
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影響範囲が変わらない対応
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作業者の役割と責任が明確なもの
この範囲では、
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確認しない
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相談しない
-
報告は事後ログのみ
という設計を取ります。
5-4. 判断が必要なものは必ず「切り出す」
一方で、次のような事象は
日常運用に混ぜてはいけません。
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影響範囲が変わる
-
方針や仕様に関わる
-
例外対応が必要
-
緊急性の判断が必要
これらは必ず、
判断対象として切り出す必要があります。
ここで重要なのは、
会話で処理しないことです。
5-5. 判断対象は「課題」として扱う
判断が必要な事象は、
-
チャットで相談
-
口頭で確認
ではなく、
課題として明示的に扱います。
課題として切り出すことで、
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判断内容が固定され
-
誰が決めたかが明確になり
-
後から経緯を追える
状態が生まれます。
5-6. 運用コミュニケーションの正しい流れ
本運用での基本フローは、次の通りです。
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日常運用は判断不要で実行
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例外・変更が発生
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課題として切り出す
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判断を確定させる
-
判断結果を運用ルールに戻す
この循環によって、
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運用は止まらず
-
判断は整理され
-
改善が蓄積されていきます
5-7. 「相談文化」を作らない
よくある失敗が、
「困ったら相談しよう」という文化です。
一見、良さそうに見えますが、
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判断が曖昧になる
-
責任がぼやける
-
ログが残らない
という副作用があります。
本運用では、
相談ではなく、判断材料を揃えて切り出す
これを徹底します。
まとめ
運用を軽くする方法は、
人を増やすことでも、
コミュニケーションを活発にすることでもありません。
判断を減らす構造を作ることです。
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日常運用は判断不要
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判断が必要なものだけを切り出す
-
判断結果を運用に戻す
この設計によって、
運用は「勝手に進む状態」に近づいていきます。
Chapter 0 コミュニケーション・判断・運用基盤 ― 役割と責任を固定し、判断と行動が自動連動する構造
Chapter 1 Backlog=判断コミュニケーションの正本 ― 会話と判断を分離し、行動を自動連動させる運用設計
Chapter 2 課題粒度と責任単位の定義 ― 1課題=1判断=1行動で、運用を止めない設計
Chapter 3 起票ルール ― 件名で行動を即決させる運用設計
Chapter 4 Backlogテンプレート設計 ― 会話を不要にする運用構造
Chapter 5 運用保守コミュニケーションルール ― 判断不要で進む範囲を定義する運用設計





