Chapter 3 起票ルール
― 件名で行動を即決させる運用設計

運用フェーズで最も多い停滞要因は、
起票が「相談」になってしまうことです。
起票した瞬間に次の行動が決まらず、
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誰が判断するのか分からない
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何をすればよいか分からない
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結局、確認と相談が発生する
この状態が続くと、
判断待ちが常態化し、運用は確実に止まります。
本 Chapter では、
起票した瞬間に行動が決まる件名設計を中心に、
判断待ちを発生させない起票ルールを整理します。
3-1. 起票が「相談」になると、運用は止まる
次のような件名は、一見すると丁寧ですが、
運用を確実に止めます。
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確認お願いします
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対応について相談
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不具合かもしれません
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仕様について
これらの件名には、
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課題の種別
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判断の要否
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緊急度
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次の行動
が含まれていません。
そのため、
読む側が判断を引き取る構造になってしまいます。
3-2. 起票とは「判断を投げる行為」である
本運用において、起票とは、
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相談すること
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情報共有すること
ではありません。
判断を確定させる、または判断を求める行為です。
起票時点で、
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どの種類の判断か
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誰が判断すべきか
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何を決めたいのか
が分かる必要があります。
3-3. 件名は「判断トリガー」である
件名は、単なるタイトルではありません。
判断を即座に引き起こすトリガーです。
件名を見た瞬間に、
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状況が分かる
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種別が分かる
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次の行動が分かる
状態を作ることが目的です。
3-4. 件名で明示すべき4つの種別
本運用では、件名に以下のいずれかを必ず含めます。
【障害】
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すでに発生している問題
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影響範囲と緊急度が判断対象
【課題】
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既知の問題や改善対象
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対応方針の判断が必要
【要望】
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新たな要請や改善提案
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対応可否の判断が必要
【仕様漏れ】
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定義不足・前提漏れ
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認識合わせと修正判断が必要
この分類だけで、
判断の種類が即座に分かるようになります。
3-5. 件名フォーマット例
件名は、次の形式を基本とします。
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【障害】◯◯機能でエラー発生/暫定対応要
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【課題】◯◯処理の性能改善方針決定
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【要望】◯◯機能追加の可否判断
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【仕様漏れ】◯◯条件未定義の確認
件名を読んだ瞬間に、
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何が起きているか
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判断が必要か
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次に何をするか
が分かることが重要です。
3-6. 件名が正しいと、本文は短くてよい
件名が適切であれば、
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本文は事実の補足
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判断に必要な情報の整理
だけで十分です。
逆に、件名が曖昧な場合、
本文をどれだけ丁寧に書いても、
判断待ちは解消されません。
3-7. 起票ルールが守られると起きる変化
この起票ルールが守られると、
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確認コメントが減る
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判断の引き取り先が明確になる
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行動がすぐに始まる
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運用が滞留しなくなる
という変化が起きます。
これは意識改革の成果ではなく、
件名設計という構造の成果です。
まとめ
起票で最も重要なのは、
「丁寧さ」でも「情報量」でもありません。
件名で判断を即決させることです。
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起票は相談にしない
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件名で判断を示す
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行動を迷わせない
このルールを徹底することで、
運用は自然に回り始めます。





