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「AIを作ろうと思ったことは、一度もなかった」

廃ペットボトルから作られた透明なサーフボードが海上に浮かんでいる様子
透明なサーフボードのように──技術も問いも、曇りなく透き通っているか?


最近、こんな言葉を耳にすることが多くなった。

「AIを導入しました」

「SDGsに取り組んでいます」

「DX推進担当に就任しました」


その響きはどれも「何かすごいことをやっている」ように聞こえる。


でも、その言葉の裏にある本当の目的を尋ねると、多くの人が急に黙り込んでしまう。


まるで、「AI」という言葉を口にするだけで、何かを成し遂げたような気になってしまっているかのように──。


🧭 本質を忘れた世界

あるとき、行政の提案コンペで「AIを使った子育て支援アプリを開発したい」という話を聞いた。


面白そうだと思い詳しく聞くと、現場の保育士さんや親御さんの声は一切ヒアリングされていなかった。

「誰の、何を助けたいのか」も曖昧なまま、ただ「AI」と「子育て」という2つの流行語が並んでいた。


正直に言えば、その提案書は空っぽだった。


でも、ある関係者がこう漏らした。


「この方が補助金、通りやすいんですよね」


──それを聞いて、僕は深くため息をついた。


🏄‍♂️ 一方、僕は海にいた。

透明なサーフボードを開発している。


素材は、廃ペットボトル。


なぜそんなものを作ったのかと聞かれれば、理由はひとつだけ。


「綺麗な海を、次の世代にも残したい、そして覗きたい!」


それだけだった。


「サステナブルにしたい」「SDGsを意識して」なんて言葉は、一度も口にしなかった。

ただ、透明なサーフボードが海に浮かんだら、きっと海の美しさをもっと感じてもらえる。

そう信じて、研究と失敗を繰り返した。


気づけば、構想から完成までに5年近くかかっていた。


🤖 そして、AIも同じだった。

僕は会社を経営しながら、日々の業務に追われていた。


顧客対応、請求、問い合わせ、進捗連絡…

「これ全部、もうちょっと自動化できないか?」

そう思って、夜な夜なスクリプトを書いた。


やがて、音声を文字起こしし、会話を要約し、顧客にメールを送るAIツールが自然とできあがっていた。


でもその日まで、一度もこうは思わなかった。


「AIを作ろう」なんて、一度も。


思っていたのはただ、「時間が足りない。仕組みにしたい」。

その“切実な問い”だけだった。


🧩「何を作るか」じゃない。「なぜ作るか」だ。

今、日本には**目的を見失った“装飾語”**が溢れている。


DXが目的になっていないか?


SDGsという言葉を使うことで、考えることをやめていないか?


AIを導入したということで、成果が出たと錯覚していないか?


問いが浅ければ、技術は空回りする。


でも、問いが深ければ、手段は後から自然とついてくる。


本当に助けたい誰かがいて、変えたい現実があれば、AIでもExcelでも、段ボールでも、必要なものは勝手に現れる。


🚫 目的なきAIは、意味を持たない

僕が作った透明なサーフボードは、ただ「目に見える海の美しさ」を伝えたかった。


でもそれは同時に、「本質を見る目」を持とうというメッセージでもあったと思っている。


そして、AIも同じ。


AIとは、「時間を創る道具」に過ぎない。


それ以上でも、それ以下でもない。


🖋️ 終わりに──何を変えたいのか?

もしあなたが今、新しい何かに挑もうとしているなら、

「AIを使うべきか?」と問う前に、こう自分に聞いてみてほしい。


「自分は、何を、なぜ変えたいのか?」


その答えが明確なら、AIも、仕組みも、仲間も、きっと自然に集まってくる。


AIもSDGsも、「ラベル」じゃなくて「結果」でありたい。

そう思う。


💼 ビジネス観点での考察

このまま、「言葉だけが先行する世界」が日本で広がり続けたら──

私たちは、**実行なき“流行語社会”**の中で、静かに沈んでいくことになるでしょう。


「AIを使っている」と言いながら、現場にはイノベーションが起きていない


「DX推進室」が存在しても、実際の業務はアナログのまま


「SDGs報告書」だけが立派で、現場の行動は一歩も変わらない


そうして私たちは、**“動いていないのに進んでいるフリ”**をする国になってしまう。


これはただの危機感ではなく、ビジネス競争においては命取りです。


日本は他国に取り残されていく。

本当の意味でのAIを使ったイノベーションは、起きにくくなる。

資料とノウハウだけが積み重なり、誰も実行しない情報社会が出来上がる。


つまり、“考えるフリ”と“変革のフリ”をし続けることで、

日本は本当に変えたい現実に、手を伸ばせなくなっていく。


🌊 ラフティの視点として──

記事の続きは…

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