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異なる業界を経験したからこそ、見えるものがある

小売・製造・金融・ITなど異なる業界経験とキャリアの価値を表現したイメージ画像
異なる業界を経験すると、それまでの「当たり前」が違って見えてくる。 深さと広さ、その両方がキャリアの価値をつくる。

一つの会社で長く働くことと、キャリアの価値について

一つの会社で長く働き続けることには、大きな価値があります。

長い時間をかけて、その会社の文化や業務、人間関係を理解し、社内外から信頼を得る。

短期間では身につかない経験や、その会社だからこそ得られる専門性もあります。

一方で、複数の会社や業界、職種を経験することで得られる価値もあります。

私はこれまで、小売、製造、金融など、異なる業界の仕事に携わってきました。

職種についても、販売の現場から始まり、

プログラマー

→ システムエンジニア

→ プロジェクトマネージャー

→ PMO

→ 顧問

→ ITコンサルティング

と、少しずつ活動の範囲を広げてきました。

また、株式会社ラフティの代表として会社経営にも携わり、技術だけでなく、売上、利益、人材、顧客、事業継続について考える立場も経験しました。

現在、株式会社ラフティでは、IT事業を副業として展開しているわけではありません。

STSサーフボードを中心とした活動を行い、現在所属している会社の仕事とは明確に切り分けています。

この記事も、現在の所属会社や特定の顧客、特定のプロジェクトについて述べるものではありません。

これまで複数の業界、職種、立場を経験してきた一個人として、

「働くこと」

「専門性」

「組織に知識を残すこと」

について考えてみたいと思います。


一つの業界に長くいることで得られる「深さ」

同じ会社や業界で長く働くと、その分野に対する理解は深くなります。

表面的な業務知識だけではありません。

過去の経緯、組織内の役割、意思決定の進め方、顧客との関係性など、マニュアルだけでは理解できないことも身についていきます。

特に、社会的な影響が大きく、高い品質や正確性が求められる業界では、長年の経験によって培われる知識が重要になります。

たとえば、

「なぜ、この手順が必要なのか」

「なぜ、この確認を省略してはいけないのか」

「過去にどのような問題があり、現在の仕組みになったのか」

こうした背景まで理解している人材は、組織にとって大きな存在です。

長く働くことによって得られるものは、単なる勤続年数ではありません。

私は、**その会社や業界に対する「理解の深さ」**こそが、大きな価値なのだと思います。


異なる業界を経験することで得られる「広さ」

一方で、異なる業界を経験すると、それまで当たり前だと思っていたことを、別の角度から見られるようになります。


小売業で求められるもの

小売業では、顧客の反応が売上として比較的早く表れます。

現場で何が起きているのかを把握し、状況に合わせて判断し、改善する。

そこでは、顧客視点とスピード感が求められます。


製造業で求められるもの

製造業では、

品質・工程・原価・納期・再現性

が重要になります。

優秀な個人だけに依存するのではなく、誰が担当しても一定の品質を維持できる仕組みが必要です。


社会的責任の大きい業界で求められるもの

金融をはじめ、社会的な責任が大きい業界では、

正確性・安全性・セキュリティ・説明責任

が特に重視されます。


一つの誤りが大きな影響につながる可能性があるため、慎重な判断と厳格な管理が求められます。

それぞれの業界には、それぞれの強みがあります。

ただ、一つの業界の中だけにいると、いつの間にか**「この業界のやり方こそが普通だ」**と思ってしまうことがあります。

異なる業界を経験すると、現在の仕事を、別の業界の視点から比較できるようになります。


たとえば、

「小売業のように、もう少し顧客の反応を早く捉えられないか」

「製造業のように、仕事を標準化して再現性を高められないか」

「安全性を維持しながら、必要な情報をもっと探しやすくできないか」

「過去の慣習ではなく、現在の技術を前提に仕組みを見直せないか」

こうした問いを持てるようになります。

異業種で得た考え方を組み合わせられること。

それが、複数の業界を経験した人材が持つ、一つの価値だと思います。


顧客を尊重することと、専門家として意見を伝えること

どの業界でも、顧客との信頼関係は重要です。

特に長期的な取引や大規模なプロジェクトでは、技術的な正しさだけで仕事を進めることはできません。

顧客の事情、組織文化、意思決定の進め方を理解し、相手に合わせた伝え方を考える必要があります。

そのため、顧客との関係性をつくることも、専門家に必要な能力の一つです。

しかし一方で、顧客との関係を大切にするあまり、専門家として必要な意見を伝えにくくなることもあります。


顧客の要望を、そのまま実現することが、必ずしも顧客にとって最善とは限りません。

要望の背景にある目的を確認する。

リスクや将来への影響を整理する。

そして必要であれば、別の選択肢を提示する。

それが、専門家として提供すべき価値だと私は考えています。


顧客を尊重することと、顧客の意見にすべて合わせることは、同じではありません。

ときには、相手にとって耳の痛い内容であっても、根拠と代替案を示しながら、丁寧に伝える必要があります。

ただし、正しいことを一方的に伝えればよいわけでもありません。

信頼関係がなければ、どれほど正しい提案でも受け入れてもらえないことがあります。


「正しさ」と「伝え方」

その両方がそろって、初めて提案は価値を持つのだと思います。


情報を守ることと、情報を活用すること

企業では、情報管理とセキュリティが欠かせません。

顧客情報や個人情報、機密情報を扱う業界では、アクセス制限や利用できるツールに厳しいルールが設けられています。

当然、それらは企業や顧客を守るために必要な仕組みです。


しかし一方で、情報を守ることに重点を置くほど、必要な情報を探したり、過去の知識を再利用したりすることが難しくなる場合があります。

資料が複数の場所に分散している。

保存した人にしか場所が分からない。

過去の経緯を知る人に聞かなければ、判断できない。

このような環境では、情報を探すだけで多くの時間が必要になります。

そして仕事ができる人の条件も、単に**「技術を持っている人」**だけではなくなります。


たとえば、

  • 必要な情報の所在を把握している

  • 過去の経緯を知っている

  • 関係者から情報を集められる

  • 相手の考え方に合わせて説明できる

  • 複雑な情報を資料として整理できる

こうした能力も、実務を進めるうえでは非常に重要です。

ただし、情報を探す力そのものが、個人の経験だけに依存している状態は、組織として望ましい形ではありません。

本来は、経験の浅い人でも必要な情報を見つけられ、過去の知識を活用できる仕組みを整えるべきです。

セキュリティを弱めるのではありません。

安全性を維持したまま、情報を探しやすく、再利用しやすくする。


これからの企業には、

「情報を守る仕組み」と「情報を生かす仕組み」

その両立が求められるのではないでしょうか。


ITスキルだけでは仕事は進まない。それでも、ITスキルは重要である

ITの仕事では、プログラミング、設計、インフラ、データベース、セキュリティなど、多くの専門知識が必要です。

しかし、実際のプロジェクトは技術力だけで進むわけではありません。

必要なのは、

  • 顧客との信頼関係

  • 関係者との調整

  • 情報収集

  • 資料作成

  • 説明力

  • 技術的専門性

です。


どれほど優れた技術や発想を持っていても、相手に理解されなければ、実際の仕組みとして採用されることはありません。

その意味では、「伝える力」もITスキルの一部と考えるべきなのかもしれません。

一方で、調整力や資料作成力が重視されるあまり、技術的な専門性が十分に評価されなくなることには注意が必要です。

顧客との関係性を築くことも大切です。

相手に合わせて資料を作ることも大切です。


しかし、それだけでは将来にわたって利用できるシステムをつくることはできません。

技術を理解する人と、顧客や経営を理解する人。

互いの専門性を尊重し、それぞれの力を組み合わせることが重要です。


プレゼンテーションには、唯一の正解がない

私はこれまで、多くの提案書やプレゼンテーション資料を作ってきました。


しかし、

「自分はプレゼンテーションがうまいのか?」

と聞かれると、簡単には答えられません。

なぜなら、プレゼンテーションには唯一の正解がないからです。

同じ資料でも、相手の立場、関心、知識、置かれている状況によって、受け止め方は変わります。


経営者に伝えるなら

投資対効果や、事業への影響が重要になります。

現場に伝えるなら

実際の運用や、現場への負担が重要になります。

技術者に伝えるなら

実現方法、リスク、保守性などが重要になります。


つまり、資料の見た目を整えるだけでは、良いプレゼンテーションにはなりません。

誰に、何を、どの順番で伝え、最終的にどのような判断や行動につなげたいのか。

そこまで考える必要があります。


私は過去の会社経営において、自ら提案と事業活動を行い、**12年間で累計約6億円の売上、粗利率57%**という結果を残しました。

もちろん、この数字だけで、すべての提案が正しかったとは言えません。

ただ、提案書を作るだけではなく、

顧客に価値を伝え、売上と利益につなげるところまで経験できたこと。

これは、現在の自分にとって大きな財産になっています。

なお、これは過去のIT事業を含む経営経験について述べたものであり、現在、副業としてIT案件を受託しているという意味ではありません。


個人の経験を、組織の力へ変える

IT業界では、経験豊富な人材を採用し、顧客のプロジェクトで力を発揮してもらう事業形態があります。

即戦力となる人材が活躍することで、顧客は必要な知識や経験を短期間で得ることができます。

これは、顧客にとっても、人材にとっても価値のある仕組みです。


ただし、そこで得た経験が個人の中にだけ残り、所属する会社へ還元されなければ、会社としてのノウハウは蓄積されません。

成果を出せる人を採用し続けるだけでは、組織としての再現性をつくることは難しくなります。

重要なのは、個人の経験や能力を否定することではありません。

個人が得た知識を、組織の知識へ変えていくこと。

たとえば、

  • 顧客の課題をどのように整理したのか

  • どのような観点で提案を組み立てたのか

  • 何がうまくいき、何がうまくいかなかったのか

  • 他の案件にも応用できる考え方は何か

  • 経験の浅い人でも実践できる形にできないか

こうした内容を、組織の中に残していくことです。


もちろん、顧客の機密情報や固有の事情を持ち出してはいけません。

だからこそ、

個別情報を除き、考え方・進め方・評価軸・失敗から得た教訓を一般化して残す。

その工夫が必要です。

個人の経験を安全な形で抽象化し、教育、提案、次のプロジェクトへ活用できれば、会社としての価値は高まっていきます。

個人の能力に会社が依存するのではなく、個人の能力によって会社の力も高まっていく。

その循環が、長く働きたいと思える組織をつくるのではないでしょうか。


私の希少性は、専門分野の数ではなく「つなげられること」

私はこれまで、小売、製造、金融など、異なる業界を経験してきました。


そして、

販売員

プログラマー

システムエンジニア

プロジェクトマネージャー

PMO

顧問

ITコンサルティング会社経営

と、さまざまな立場も経験してきました。


ただ、単に経験した業界や職種の数が多いことだけを、自分の価値だとは考えていません。

本当の価値は、それぞれの経験を「つなげて考えられること」にある。

私はそう思っています。


販売の現場で培った、顧客視点。

小売業で学んだ、スピード感。

製造業に求められる、品質と再現性。

重要な社会基盤を支える業界に必要な、安全性と正確性。

ITの現場で身につけた、技術的な理解。

プロジェクトを動かすための、調整力。

経営者として考えてきた、売上・利益・投資対効果。


これらを別々の知識として持つのではなく、一つの課題に対して組み合わせて使う。

それが、私自身の強みだと考えています。


たとえば、

技術的に実現できるか。

だけではなく、

顧客にとって価値があるか。

現場で運用できるか。

会社として利益を生むか。

将来も継続できるか。

まで考える。


現場、技術、顧客、経営。

これらを横断して考えられる人材は、決して多くないはずです。


長く働くことを「年数」だけで評価しない

同じ会社で長く働くことには価値があります。

複数の会社や業界を経験することにも価値があります。

どちらが正しい、という話ではありません。


大切なのは、その時間の中で、

何を学んだのか。

どのような価値を生み出したのか。

その経験を次にどう生かしているのか。

ということだと思います。


一つの会社で専門性を深める人。

異なる業界を経験し、知識の幅を広げる人。

現場を支える人。

技術を追求する人。

顧客との関係を築く人。

組織に知識を残す人。

それぞれの役割があり、それぞれの価値があります。


私はこれからも、現在の仕事とSTSサーフボードの活動を明確に切り分け、それぞれの立場と責任を大切にしていきます。


ITの仕事では、所属する組織と顧客に対して価値を提供すること。

STSサーフボードの活動では、サーフィンやものづくりを通じて、独自の価値を生み出すこと。

そして個人としては、これまでの経験から得た考え方を、自分自身の言葉で発信していくこと。


異なる業界を経験したからこそ、見えるものがあります。

一つの会社で長く働くからこそ、見えるものもあります。

その両方を理解し、自分の経験を誰かや組織の成長につなげていく。

それが、私がこれから大切にしたいキャリアのあり方です。


※本記事について

本記事は、筆者個人のこれまでの職業経験をもとにした一般的な考察です。

現在または過去に所属した特定の企業、顧客、取引先、プロジェクト、システムなどを評価・批評するものではありません。

また、守秘義務の対象となる情報や、特定の業務・案件に関する情報は含んでいません。

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